冬景色


 ここのところミロが姿を見せない。とは言っても普段もしょっちゅう姿を見せる、というわけではなかったが。天蠍宮に行っても人の気配どころか小宇宙すら感じられない。
 カミュはふと、ミロの小宇宙が薄らいでいくのを感じた。
(ミロに何かあったのでは・・・)
 思わずカミュは、ミロの部屋へと足早に向かっていた。ミロの部屋の前で立ち止まったカミュは、本当にミロの小宇宙が消え入りそうな程弱っているのがわかった。
 カミュは扉を叩いた。返事がない。もう一度、今度は少し強めにノックして、
「ミロ、私だ!」
 と、叫んでみたが応答なし。カミュは思い切ってドアノブを引いた。軋む音がして部屋の中がゆっくり目に入ってくる。中は薄暗く、絨毯、窓ぎわに置いてあるベッドなどが見えた。ふとベッドの中に誰かいるのが分かる。
「ミロ!」
 カミュは叫んで部屋の中に入りベッドに駆け寄った。カーテンをあけ、光を入れ、明るい中で確認してみるとミロがベッドに横たわっている。と言っても、よほどきついらしく白い枕がわりのクッションの隙間から金髪が流れ出ているのでそれと確認できたわけだった。
 カミュは、急いでミロを布団の上から揺さぶった。
「ミロ!ミロ!」
 ようやくミロが顔を見せた。白い顔が薄紅に染まっている。カミュがその額に手を当ててみるとひどい熱である。
「どうしたんだ!ミロ?」
「・・・カゼ・・・」
「は?」
「カゼをひいた・・・うつるから早く出て行け」
 ミロは弱々しく繰り返した。
 何とも間の抜けた答えにカミュは一瞬拍子抜けしたが、何だ、とやっと安心して
「少し待っていろ」
 と言って部屋を出て行った。
 しばらくしてカミュはレモン水と蜂蜜を冷水で割ったものと冷たいタオルを持って戻って来た。ミロはまたベッドにもぐりこんでいた。カミュは布団をめくり、タオルをミロの額に当て、コップを差し出した。
「ほら、これを飲むんだ」
 ミロは元気なく首を振る。
 カミュは
「いいから飲め!」
 と、ミロの手にコップを押し当てた。ミロはだるそうに頭を起こした。カミュはミロを抱えて起こすのを手伝ってやった。熱がミロの体から白いシャツを通してじんじん伝わってくる。カミュはミロを抱えたまま、そっとレモン水のコップをミロの口に近づけた。ミロは一口二口飲んでまたふらりと横になった。カミュはそっと布団を掛けてやった。
「すまない・・・」
 少し楽になったのか小さな声でミロが言った。
「これくらいいいさ。早く元気になれよ」
 カミュはベッドに屈み込んで優しくそう言った。
「・・・ああ・・・」
 あまり気のない様子でミロが答える。
「そうじゃけんにするな。何ならオーロラ・エクスキューションで冷やしてやろうか?」
「馬鹿!風邪が悪化する!」
 思わず布団から顔を出したミロにカミュは笑顔を見せ
「いいさ、その時はまた看病してやるさ」
 カミュの答えにミロはやっと微笑を見せた。
「そうだな・・・」
 二人は顔を見合わせてほほ笑み合った。


 外は木枯らしが吹きぬけていて冷たいがこんな季節もありがたい、とカミュは思った。ミロと一緒にいられるのだから・・・。

  冬のオ・ハ・ナ・シ





■ゆみざき薫様から無理矢理掲載許可を奪った(自覚はある/笑)
  『冬の昼下がり』のその後話、『冬景色』です。ありがとうございますーvv
■んも〜、本当に!こっちも回れるわっ!!
■実際は、こちらのお話を先に読ませていただいたのですが。
  も〜ね。事ある毎に私、ゆみざき様にネダリ倒してまして(笑)
  『カミュミロ話〜カミュミロ書いて下さい〜』と。もう、喰らいついた様に(笑)
  したらば、見事発行!いやあ継続は力なり(…は?)
■んでもって、今回『冬の昼下がり』を読んでからコチラを読むと、
  より一層楽しいですねvv
  カミュ、貴方バリ心配してるけど原因は貴方なのよ?!解ってるの?!(笑)
  ミロはミロで原因のカミュに文句の一つも言わず、かえって移るの心配してるし……(笑)
  ええのう、微笑ましい二人で……。は〜、しゃ〜わせ〜vv
■しかし。ウチの二人との差が笑える、と思いました(爆笑)
  私のストック話の中に風邪引き話あるんですが、こんなホノボノになりません(爆)
  カミュの性格に問題ありです(爆笑) ミロも素直じゃないしにゃ。
  まあ所詮私の書く話だ……(痛)
■ゆみざき様、掲載許可ありがとうございました!
  ちなみにコレ、手元の本を私が打ち出ししています。
  誤字脱字は私の入力ミスです(汗) 一応何度も見直してますが、もし万が一、
  ミスがあったら、指摘してやって下さいー……不安。