月光 ミロは中秋の名月を楽しみにしていた。この夜はぜひカミュと過ごしたい。 日本でお月見の話を聞いて、ミロはその美しい行事に魅了された。 この日も紫龍に電話をかけて月餅の作り方を教わった。紫龍は中国式のお月見のやり方を知っている。日本のもいいが、ここは本場(?)の中国式でいこうとミロは考えた。月餅を作るのは難しいからチャイナタウンで買って送りましょうか?という紫龍の申し出を断ってミロは皮作りから餡子まで時にはメモを取りながら詳しく詳しく教わった。紫龍は、お月見では梨を食するのだが梨を切ってしまうと「分離(梨)別れる」の意味になるから気をつけてくださいと(親切に!)教えてくれた。 カミュはミロがあんまりしょっちゅう日本に電話するので面白くないようだった。 ミロはミロで熱心にお月見の準備に取り掛かった。カミュのためにとびきりの月餅を作るのだ。 お月見当日。素晴らしい夜空に恵まれて、白い月が煌々と淡い光を放っていた。不機嫌なカミュをミロは自分の部屋に誘った。 真中のテーブルには綺麗なクロスがかかっていて、その上には素晴らしいできばえの月餅、お飾りの梨、ミロが丁寧に選んだススキが置いてあった。そしてその窓の向こうにはぼうっと輝く満月が見事に覗いている。 カミュは思わず我を忘れてその光景に見入った。ミロは嬉しそうに、 「どうだ?一緒にお月見しよう」 とカミュに微笑んだ。嬉しいのはカミュとて変わらないのだが、ちょっと意地悪く、月餅を一つ手にとってパクリとかじると、 「紫龍の味だな」 と言った。ミロは泣きそうになった。それから何も知らないカミュは梨をひょいとつかんでナイフで割ってしまった。 「半分こしよう。ホラ」 ミロの瞳に涙が浮かんだ。慌てたのはカミュだ。まさかさっきの嫉妬混じりの意地悪でミロが泣いてしまうなんて思いもよらなかったのだ。 「どうした?!ミロ」 急いでミロの顔を覗きこんで涙を拭いてやる。ミロは俯いて、 「梨…、分けてしまうと分かれる意味になるらしい…」 なんだ…、とカミュは安堵し、ミロに笑いながら言った。 「梨一つ分けたくらいで壊れる俺たちじゃないだろう?分かるだろ?」 まだ瞳に涙を溜めながらもミロは頷く。 「そんな言い伝えよりも俺の思いは…」 そう言いかけてカミュはちょっと笑った。優しい笑顔だ。ミロもやっと微笑みを見せた。 「それから…」 とカミュは恥ずかしそうに、 「紫龍の味なんて嘘だからな。お前が作ってくれた、まさにお前の味だったよ」 「カミュ…」 ミロの瞳に今度は嬉し涙が光った。カミュはミロの肩を抱き寄せると、 「じゃ、お月見しようか?月にも邪魔されたくないんだけど、な。」 ミロは嬉しそうにそっとカミュの肩に頭を乗せた。 二人で月餅を味わいながら二人だけの時間を過ごす。それを優しく見ていたのは明るい月の光だけだった――。 |
■ぐっはー………!!!!! またしても!またしても素敵お話をゆみざき様よりせしめてしまいました! ミロ様可愛いカワイイかわいい〜ッ!!!!!! なんすか?!なんなんですか?!この可愛いさ加減は!!!!!! ■お月見の時期前に『次はお月見ですねvv』なんぞ言うてねだっておったのですが。 時期がズレたので、お月見は駄目だったかーとか思ってたんですが! 頂いてしまいましたよお月見で!!!!!! …………じゃあ、紅葉狩り案は却下なのかな……(こっそりねだる) ■ってかですねー、もうもうもう!本当にゆみざき様の書かれるミロ様! 何でこんなに可愛いんですか!カミュ様は格好良いですよね! サラリと気障で格好良い事を言ってしまえるって言うか!!!!! ぐっはー!!!!!! 邪まな私としましては、この後の二人が激!気になるんですがねえ……。 ■我侭な強請り倒しにお応え下さって有難うゴザイマシタ!ゆみざき様!!!!!! こっそりゲスト出演のゆみざき様宅の紫龍はどんなお月見過ごしたのでしょうねえ……。 |