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住職法話集

仏壇がやたらと立派な家

その家は、今でこそ道沿いに建っているちゃんとした家らしい家なのだけれど、昔は、水があふれると流されてしまうのでは、とこちらが心配になるほどの橋の下の川べりに建っていた。久昌寺の数百軒もの檀家の中でも掛け値なしに指折りの、いわゆる貧乏所帯だったのだ。

今から40年程も前、まだ私は中学生だったけれど、お盆の檀家まわりでその家に行くと、家はものすごくみすぼらしいのに仏壇だけがやたらと立派だったのが印象的だった。仏壇をこんなに立派にするのだったら、この粗末な家を何とかすればいいのに・・、と思ったことをよく覚えている。特にその頃は、その家のご主人が若死(わかじ)にして間もない頃で、窮状も極まっていたのではないかと想像される。

でもその家は立派な跡継(あとつ)ぎができ、もちろん家も違う場所に建て替え、現在の当主の息子さんも一流の会社のサラリーマンとして働いている。その家の人たちの、現在までの苦労がしのばれると共に、やはり、大事にされていたご先祖様が、子孫が幸せになれるよう見守っていてくれたのかなあ、と感じている。宗教とか信心とかは、決して、おかげをうんぬんするものではないとは思うけれど、そのことをまるっきり否定することはできないように思う。

今年の夏もそのお宅におまいりした。