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住職法話集

交互にやればいいじゃないか…

 仏教では、何の財産をもっていなくとも出来る布施(無財施と言います)の中に言辞施(ごんじせ)があげられ、その大切さが強調されています。言辞施とは、言葉のほどこし、ということです。

 また人と接するときに心がけるべき四つの事(四摂法・ししょうぼう)の一つとして、愛語(あいご)、つまり思いやりのこもった言葉を使うべきことがのべられています。

もう何年も前の事ですが、今はもうなくなったうちの祖母のところにはお医者さんが定期的に往診に来てくれていました。あるとき往診に来てくれたのがそのおばあちゃんの(確か96歳の)誕生日の翌日だったのです。診察してもらいながらそのことが話題になりました。

「昨日は私の誕生日で、ひ孫たちがハッピーバースデイを歌って祝ってくれたんですよ」

おばあちゃんがそう言うのを聞いて、まだ30代のその若いお医者さんはこう言いました。

「おばあちゃん、それは良かったなあ。

おばあちゃんほんとに大きくなったなあ

……今でも忘れられない素晴らしい一言でした。

 最近私がとても感動し、これは素晴らしい言葉だと感じた言葉を紹介しましょう。

俳優の森重久弥(もりしげひさや)さんは皆よく知っていますよね。その森重久弥が、病気で苦しんでいた後輩の俳優・Tさんにだした手紙の中にはこう書いてあったそうです。

「人は泣いてばかりは生きられない、笑ってばかりもいられない。交互にやればいいじゃないか」