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住職法話集

『劫』について

「未来永劫(みらいえいごう)」という言葉の中の「劫」は、もとは仏教用語で「こう」と読み、きわめて長い時間の単位です。

 「四十里四方もあるとても大きな岩があって、その上に百年に一度天女が舞い降りて来て、天女の羽衣でサっとひと撫でして天にのぼって行く。百年経つとまた天女が舞い降りて来て、撫でて天に帰る。そうやって百年に一度繰り返し撫でて、その岩が少しずつすり減って行き、やがてなくなってしまう。そのなくなってしまうまでの時間を、一劫(いっこう)と言うんだ…」

 学生の時、先生からこう聞かされたとき、仏教の時間の観念はなんて素晴らしいのだろう、と感じました。もちろん天女が登場するというロマンチックさも、私が関心を持った大きな原因ですが…。

何と言っても「劫」が持っている圧倒的な“もの”(「長さ」とか「大きさ」という言葉では言い表せない気がしました)に魅了されてしまったのです。

その時は、まだ僧侶になっていない、いわば普通の人間の感覚で、「ああ、これが仏教なんだなあ」…そのように感じたのをよく覚えています。

今でも「劫」のことを聞いたり想像したりするだけで、気持ちが大きく、広くなってゆくような気がします。