ねはんえとバレンタインデー
2月15日は、お釈迦様がお亡くなりになって、おねはんに入られた日です。この日には全国の仏教の寺院で、お釈迦様のご遺徳をしのんで、盛大に、あるいはしめやかに法要が営まれます。この日のことを「ねはんえ」と申しますが、少し言葉が難しいですから、『おしゃか様のご命日・おしゃかさまをしのぶ日』と覚えておいて下さい。
それでは、2月15日の前日・14日は何の日でしょう?大抵の日本人がすぐに「2月14日はバレンタインデー」と答えることができます。特に50才より若い方々はほぼ百パーセント可能、といっても差し支えないのではないでしょうか。
バレンタインデーはキリスト教に関係する日です。でも大半の日本人が思っている「チョコレートを贈り贈られる日」という理解はちょっと違うようです。
いずれにしても15日の『お釈迦様のご命日』と14日のバレンタインデー』とを比べると、現代の日本人への浸透度という点で、あまりにも差があり過ぎるような感じです。『バレンタインデー』の方はほぼ百パーセントの人が知っています。ところが、統計を取ったわけではありませんからはっきりとは言えませんが、『お釈迦様の涅槃(ねはん)の日』は、せいぜい10パーセントくらいかな、と思います。
これは、日本における、仏教とキリスト教の歴史と広がりを考えると、まったく逆の数字ではないかと感じます。どうしてこのような差ができたのでしょうか。
バレンタインデーはお菓子を製造販売するある大きな会社が、昭和30年代に日本に紹介したそうです。それまではもちろんバレンタインデーは日本に知られてはいませんでした。
その会社が売り上げを伸ばすために、チョコレートとセント・バレンタインとをくっつけて日本に紹介したわけですが、紹介した初めての年は、一生懸命宣伝したにもかかわらず、バレンタイン効果で売れたチョコレートは日本全国でほんの数枚だけだったそうです。
それでもあきらめず、『バレンタインデー』の宣伝を毎年毎年ずっと続けてきた結果、今日ではバレンタインデーを知らない日本人はほとんどいなくなり、バレンタインデーにおけるチョコレートの売り上げは膨大なものになっています。
『ねはんえ』と『バレンタインデー』とを単純に比較することはできませんが、仏教徒も見習わなければいけないなあ、と私が感じるのが、最初のうちバレンタインのチョコレートがほとんど売れなかったのに、それにもめげず、一生懸命『バレンタインデー』の宣伝につとめてきた人々の情熱です。同じような情熱を、我々も持ち続ける事ができたなら、『2月15日・お釈迦様のご命日』が現代日本に広まって行くかも知れません。