おさば
(久昌通信77号より)
おさばは、『さば』に丁寧語の『お』をつけたものです。漢字で書けば『お生飯』です。 『さば』は、自分がご飯を食べる前にお茶わんから5粒~7粒ほどのご飯つぶを取り、無縁の霊や動物や昆虫の霊(『鬼神』と言います)にそなえるものです。
食事の前後に家族全員の『さば』を集めて屋根の上に放り上げたり、池の中の魚に食べさせたりします。またペットの犬や猫に食べてもらうのも悪くないと思います。
『さば』を取り、集める事は臨済宗の道場では必ず実行されていますし、久昌寺でも家族の食事のときは、なるたけ実行するようにしています。ちなみに『さば』を代表して食べるのは、うちではもっぱら番犬・ゴロ-の役割です。
現代日本では、食べ残しがたくさんあります。そんな社会の中で、食べる前にお供えをする『さば』はとても意義深いものだと思います。
『さば』を、おまつりされていない霊(『餓鬼』とか『鬼神』と呼びます)にお供えする、という宗教的な意味だけでなく、世界中に存在している、食べるものも寝るところもない人々のことを考えるということは、我々にとって、そして特に子供たちにとってとても大切な事ではないでしょうか。
「毎日寝るところがきまっていて、冷蔵庫の中に食べ物があるならば、あなたは世界中の7割の人々よりも幸せです」…と、ある新聞に書いてありました。
また、現代日本では4割・5割の人間が大学へ進学しますが、世界的に見ると大学教育を受けられるのは、百人に一人だけだそうです。驚きました。
そういう現状をどうしたらよいのか、また自分に何ができるのか、よく分かりませんが、最低でも、そういったことに思いを馳せることだけはできます。そのためにも『さば』はとても素晴らしいという気がします。