おそくとも・・・・
「おそくとも 高きにのぼれ かたつむり 通りしあとに 光のこして」…とても印象的な和歌でした。
ずっと以前、うちから少し離れた所の、ある禅寺にうかがったときに、一枚の色紙をいただきました。その色紙には、大きなカタツムリと和歌が書かれていました。その和歌が上記の和歌です。
この和歌とカタツムリの画を見て、ふっと心が軽くなって静まった感じがしました。ゆっくりではあっても、着実な歩みの後には、カタツムリが這った跡が乾いてきらきら光るように、何かが残る…
オリジナルは、誰が詠んだのかぜひ知りたいと思い、調べてみましたが結局よくわかりませんでした。ただ『日本例話大全書』(平成12年・四季社)には、北村西望(きたむらせいぼう)氏が百歳のとき長崎県島原市のあるお寺に残した川柳として『たゆまざる歩み恐ろしかたつむり』の一句が紹介されていました。和歌の前半『おそくとも高きにのぼれかたつむり』とほぼ同じです。
例話大全書の本の中には『たゆまざる…』の句ができたきっかけとして、次のようなエピソードが載っていました。
…ある朝、その(平和)記念像を見に行くと(像の)足元に一匹のカタツムリがいました。夕方にもう一度像の前に行ったとき、そのカタツムリは九メートルもある像のてっぺんに登っていました…
おそらく『たゆまざる歩み恐ろしかたつむり』の句を知っていた誰かが、「おそくとも・・・」の和歌を詠んだのであろうと推察されます(ご本人の歌かもしれません)。