住職法話集
つかと岡林
私が大学のサークルで演劇に情熱を注いでいた頃、演劇の世界で頭角をあらわしてきたのが「つかこうへい」でした。
私がいた劇団では上演しませんでしたが、彼の出世作である「熱海殺人事件」はよく知っています。
その後の活躍はご存知の通りです。
そのつかこうへいが、この七月十日に亡くなりました。
満六十二歳、合掌。
その訃報の中で「つかこうへい」の名前の持つ意味を初めて知りました。
この名前には、日本が『いつか公平』な世の中になるように…という願いがこめられていたそうです。
在日韓国人の彼が、育った過程で様々な差別を受けたり、不公平さを感じる事も多かった事でしょう…。
それからもうひとつ。「つかこうへい」が全部ひらがなになっているのは、漢字の読めない自分のお母さんにもわかるように、との思いがありました。
非常に厳しい演出をする人でしたが、究極の優しさを持っていた人だったようです。
ついでに「岡林信康(おかばやしのぶやす)」の事を思いだしました。
私が中学・高校生の頃大活躍していて、フォークの神様と呼ばれていた人です。
先頃CDで久しぶりに岡林の昔の歌を聴いて驚きました。
その歌詞を紹介します。
「ガイコツがケラケラ笑ってこう言った。『どうせみんなみんなくたばって、オイラみたいになっちまうんだから、せめて命のある間、よけいなことにウロウロしないで、大事に大事に使っておくれよ、一度しかないおまはんの命』」
何十年も前のフォーク・シンガーは言葉は乱暴でしたが、今の私たち・僧侶と同じようなことを主張していたんですね。
久昌寺の本山・妙心寺の開山大師遺戒の中に出て来る有名な言葉を紹介しましょう。
「汝ら請う、其の本をつとめよ、葉をつみ枝をたずぬる事無くんばよし」
岡林はこの言葉を知っていたんでしょうか?
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