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住職法話集



ウサギの布施

ジャータカ・お釈迦様の前生譚より)

今年の干支・ウサギに因んでインドの古くからの『ウサギの布施』というお話をご紹介しましょう。

昔、深い森の中に賢いウサギが住んでいました。そのウサギにはサルと山犬とカワウソの3匹の仲の良い友達がいました。4匹は互いに自分のえさをとる場所も決め、えさを奪い合うこともなく、仲良く暮らしていました。そして毎晩、ウサギはみんなを一ヶ所にあつめて、「貧しい人や困っている人たちに布施をしなくてはいけないよ」と言い聞かせました。

その様子を天から眺めていた帝釈天(たいしゃくてん)という神様は、ウサギの心根が本物かどうかを確かめようと、バラモンの修行者に姿を変えて動物たちに食べ物を請うことにしました。

まずカワウソのところへ行くと、カワウソは川で獲った魚を「どうぞ召し上がれ」と差し出しました。次に山犬のところでは獲物の肉を与えられました。サルの所では木の実・マンゴーです。最後に修行者はウサギのところへ行き、食べ物を請いました。ウサギは、日頃から草しか食べていないし、この時期にはその草もあまりはえていません。そこでウサギは言いました。

「私にはお布施できる食べ物が何もありませんので、この私の身体を布施します。でもあなたは決して殺生なさいませんでしょうから、薪を集めて火を起こしてください。私は自分でその火の中に飛び込みます。体が焼けたらその肉を食べてご修行に励んでください」

神様は神通力で火を起こしました。その燃えさかる火の中へウサギは飛び込みました。その瞬間、火は冷たい雪に変わったのです。びっくりして唖然としているウサギに正体を明かした神は、心根を疑い、試した事をあやまりました。

神はこのウサギの姿をお月様にえがいて、世界中の皆が、布施することの大切さを忘れないように、と願ったそうです。