第15回 持戒(じかい・・・六度の2番目)
諸悪莫作 衆善奉行(しょあくまくさしゅぜんぶぎょう)ということについて
六度の第2が持戒です。
持戒とは戒(かい・いましめ)を持つ・たもつ、という意味です。
仏教における最も基本的な五つの戒、五戒を紹介すると
第一不殺生戒(ふせっしょうかい)、第二不偸盗戒(ふちゅうとうかい)、第三不邪淫戒(ふじゃいんかい)、第四不妄語戒(ふもうごかい)、第五不飲酒戒(ふおんじゅかい)の五つです。更に十重禁戒といって五戒にプラスしてあと五つ、合計10の代表的な戒が示されています。不自讃毀他戒(ふじさんきたかい)などもその一つです。また各宗派によって言い方が異なったり様々な戒が示されています。
ですから一々それらをご紹介して説明する事は私の手にはとても負えないのですが、『戒』の根本となる考えは『悪いことをするな、良いことをせよ』です。
昔、中国の有名な詩人・白楽天(はくらくてん)が生きていたころのこと。いつも木の上で坐禅ばかりして『鳥の巣和尚』と呼ばれるちょっと風変わりなひとりの禅僧がいたそうです。ある日、白楽天(はくらくてん)が木の上に向かって声をかけてその禅僧に尋ねました。
「仏様(ほとけさま)の教えは随分と有難いそうだが、仏の教えというのはいったい何だい?」
鳥の巣和尚、それに答えて、
「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教(しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう じじょうごい ぜしょぶっきょう)」と言いました。説明すれば『悪いことをするな、善いことをせよ、そうすれば心が自然ときよらかになってくる、それが諸仏の教えだよ』という意味です。
白楽天(はくらくてん)はそれを聞いて鼻で笑いました。
「ヘッ、そんなことは三歳の子供でもわかってるよ」
それを聞いた鳥の巣和尚は
「三歳の子供でも頭ではわかってるけれど、八十歳の老人でもこのように実践するのは難しい」と言ったそうです。
仏教というのは本質的には本当に単純ですが、本当に難しいですね。(…住職)