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久昌通信

久昌通信143号(平成20年2月号)

 中国から輸入された餃子の事件が大変ですね。
中国での残留農薬の問題というより、おそらく不特定多数の人を狙った毒物混入の犯罪ではないかと思いますが、中国の存在が従来とは比べ物にならないほど大きく重要なものになっていることを改めて思い知らされますね。
知る・知らないにかかわらず、われわれの日常生活が大いに中国に支えられているわけですから・・・。

 今年最初の久昌通信の発行です。皆さん、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
KYとは『空気(KUUKI)が読めない(YOMENAI)人』をさすのが常識ですが、『ことし(KOTOSI)もよろしく(YOROSIKU)』の意味でKYということが時にあるようです。
その意味のKY、KY。

めでたくそうろう

ある大企業の今年のカレンダーの1月ぶんには、博多の聖福寺におられた禅匠・仙厓(せんがい、1750~1837)禅師がお描きになった画と言葉が載っています(この企業では毎年仙厓カレンダーを製作しているそうです)。
その画と言葉は今年のえとである『ねずみ』にちなんだものです。

紙の上に、太く大きな葉っぱ付きの大根をかじっているねずみの画が描かれ、
福ねずみ 大黒食とは 目出度く候』と書かれています。
大黒食は『ダイコくう』と読めばいいのだと思われます。

『大根』のことを『だいこ』と言うことがありますし、また『ダイコくう』と言うことにより『大黒』のシャレ言葉になるのです。

 ネズミは細菌をたくさん持っていて、結構嫌われ者なのに、ねずみが『幸福』の象徴である事が、昔から不思議に感じていました。
ネズミの事を『お福さん』と呼ぶことさえあるのです。

調べたところによれば、ネズミは七福神の一人(というより七福神の筆頭?)である大黒様のおつかいである、ということです。
えとの第一であるネズミが、七福神の筆頭とも言うべき、大黒様のつかいでした。
またネズミは非常な多産であり、そのネズミが子孫繁栄の意味を持つ大根をかじっている様子。

そんな様子を、仙厓禅師はただシンプルに、何の飾りもつけないで「めでたくそうろう」とおっしゃいました。とてつもないおおらかさと深さを感じます。

思わず頬がゆるんでくるようなこのカレンダーをながめながら、皆様の今年一年が幸福に満ちためでたい一年でありますようお祈りいたします。



久昌通信143号うら

今年正月、本山・妙心寺HP(http://myoshin.com/)の中の法話を担当しましたので(子供向け法話)、それをご紹介させていただきす。
以前の話と重なる部分もありますが、エルメス親子の現況報告も兼ねますので。

エルメスの出産、子育て

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

私が住んでいるお寺に出入りしていたノラ犬(メス・シバ系雑種)が、去年10月ごろに子犬を産みました(うちの番犬はオスですが、残念ながらその子供ではありません)。

この犬が出入りし始めて2年数か月、最初は元気いっぱいの4本足でしたが、2005年の暮れ、けがのために左前足が折れ曲がってしまい、3本足のノラになってしまいました。

エルメス(そのノラを私たちはそう呼んでいます)は、昔のように素早く動けませんが、ヨタヨタしながらも、ひんぱんにお寺にやってきては餌をもらって食べていました。

10月頃、エルメスは出産し、ほぼ毎日のようにエサを食べにやってきました。
生まれた子犬に乳を飲ませるためにも、栄養たっぷりのドッグフードがたくさん欲しかったのでしょう。
ところが11月なかば、突然に、ぷっつり姿を現わさなくなりました。

しばらくたって姿を見せたと思ったら、左の後ろ足までが使えなくなって二本足の犬になってしまっているのです。
いったい何があったのでしょうか!?

たずねても、答えてはくれません。
ただ、必死な眼で訴えて、エサを要求するばかりです。
どうにか動けるようになったので、確実にエサがもらえるお寺まで来たのに違いありません。
上り坂や下り坂ありの、1キロほどの道のりを、どのようにしてやってきたのでしょう。

最初は悪い後ろ足を下に降ろせないで、おしりを地面につけたままでエサを食べていましたが、2日後には足をおろせるようになって、立って食べられるようになりました。
でも、歩くのはやはり2本足です。バランスを取り、体をかたむけながらも、だんだんと素早く動けるようになりました(人間につかまらないように、なるべくすばやく動かなくては、と心がけているように思います)。

命がけの子育てです。
エルメスはうちのお寺でたくさん食べて、すみかへ帰って吐き戻し、それを子犬たちに離乳食として食べさせていたようです。
見たわけではありませんが、食べる量がすごいのに、エルメス自身はがりがりにやせたままなので、そうではないかと想像していました。

ちょうどその頃です。九州の方で、ある若い夫婦が、生後間もない赤ちゃんをほったらかしにして遊びまわり、あげくに死なせてしまったというニュースが流れました。
やりきれない怒りの気持ちが湧いてきました。
その人間の若夫婦に、エルメスの姿を見せてやりたい気持ちでした。

12月はじめ、エルメスが育てた子犬のうちの1匹が、近所の家に引き取られ飼われていることが判明、エルメスの命がけの子育てが、少しむくわれました。
とてもかわいいメスの子犬です。その家の子供が『アズキ』と名付けました。
幸せな飼い犬になることでしょう。
私も、うれしい気持ちで新しい年を迎えることができました。(了)



エルメスが産んだ子犬は3匹です。去年暮れの30日に、エルメスはアズキ以外の2匹と一緒に久昌寺に現れました。妻が餌をよくやるので(子犬たちに食べさせて!と言ってドッグフードを持ってくる人もいます)、子犬たちも大分大きくなりました。
アズキの飼い主によれば、エルメス親子3匹が、ある晩その家にやってきて、エルメスは、子犬3匹を一緒に遊ばせていたそうです。現れたのはその1晩だけ、まるで子犬たちに今生(こんじょう)の別れをさせていたようだった、と言っていました。