平成二十年 久昌通信151号 おもて
師走になりました。
今年も1ヶ月を残すのみ、とにかく月日のたつのが速い、びっくりです。
ところで『師走』の語源は『師の僧が忙しく走り回る』だそうです。
オバマ大統領の誕生と仏教の登場
民主党のオバマ大統領候補がついにアメリカの大統領選挙を制して、次期大統領となることが決まりました。
オバマ氏は、父親はアフリカ人、母親は白人ですから混血の人、ご存知のように有色人種で初めてのアメリカ大統領です。
世界の外交や経済に大きな影響を持つ国の大統領が有色人となり、アメリカがどのように変わり、世界がどのように変わるのか?
我々にとって良い方向に変わってくれるよう大いに期待しましょう。
民主主義・平等主義の代表と思われているアメリカでは、意外と有色人種や、キリスト教以外の宗教の信者に対する差別が根強く存在しているのが実情ではないでしょうか。
私は専門家ではないので、断言することはできませんが、今度の大統領選で、黒人やその他の有色人種のアメリカ人たちがオバマ氏に対して熱狂的に支持していた様子が報道されていたのを見ると、アメリカ社会の中では差別が深刻だということが想像されるのです。
そんな差別体制をアメリカ社会の中で是正することを期待されてのオバマ新大統領の誕生、ものすごく大きな物を背負っての船出になることは間違いありません。
そんなオバマ新大統領の誕生と2500年前の仏教の登場がよく似ているなと、このところ感じています。
仏教もまた、差別社会の中で人間の絶対平等を主張しながら登場してきました。
仏教が誕生したインド社会は、ヒンズー教、すなわちバラモン教の社会であり、その中では『生まれこそが絶対』なのです。
つまりバラモン(聖職者)の階級に生まれた人はたとえどんな悪いことをしようとあくまでバラモンであり、農業の従事者として生まれた人はどんな善いことをしても、あくまで農業従事者なのです。
その垣根を越えることはインド社会では最大の悪であり、垣根を超えないでいてこそ社会全体の秩序が保たれる、ということでしょうか。
そんな中で、人間は、生まれにかかわらずすべての人が覚(さと)りを得る性質(仏性・ぶっしょう)を持っており、徳を積む(いわゆる善いことをする)ことによって覚りに近づくことができ、心安らかな生活を送ることができる、と教えたのが仏教です。
そういう教えを持っている仏教ですが、インドにおいて登場以来1700年ほどが経ち、イスラム教と仏教との衝突が激しくなりました。
犠牲者が多くなるのをできるだけ避けたい仏教は、戦いに敗れインドからはほぼ駆逐されてしまった(13世紀頃)というのが大きな流れです(詳しいことは専門の研究者に訊いてもらいたいと思いますが、インドから仏教がほぼなくなってしまった理由については、専門家の間でも意見の分かれる所です)。
12月8日はお釈迦様がお覚りを開かれた日、成道(じょうどう)の日です。
「一切衆生、ことごとく仏性(ぶっしょう)あり」のお釈迦様のお覚りの言葉を、今一度かみしめたいと思います。
平成二十年 久昌通信151号 うら
妙心開山無相大師六五〇年遠諱記念
作品コンテスト作品募集!
*絵画または書道の作品を募集します。
締切ま近…平成20年12月31日
作品テーマ…『いのち』または『おかげさま』
本山が、締切り期日を延長して、募集しておりますので、皆様にご案内致します。
募集しているのは本山・妙心寺派宗務本所です。
どなたでも(花園会員でなくても)応募できます。出品料は無料で、お一人何点でもご応募ください。応募作品は返却いたしません。絵画は水彩画・水墨画・版画・イラストなど表現は自由、大きさは、八つ切(270ミリ×380ミリ)です。書道(習字)は幼児・小学校低学年・高学年・中学生・高校生それぞれによって書く文字が異なっていますので、詳細は本山(075-463-3121)または久昌寺にお問い合わせください。
作品は直接下記宛へ送ってもよいし、20日までに久昌寺にお持ちくださっても結構です。
あて先は
〒616-8035京都市右京区花園妙心寺町64
妙心寺派宗務本所「作品コンテスト」係 です。
優秀作品は本山にて表彰され、展示されます。
同時に「妙心寺写真コンテスト」の作品も募集されています。応募の詳細は本山か久昌寺にお問い合わせください。締切りは同じ12月31日です。
「直心是道場」
先日、テレビの『和…日本文化』をテーマにした番組の中で、一般の観光客が、宿泊できて、精進料理が味わえて、坐禅もできるお寺として妙心寺の塔頭(たっちゅう)の東林院(とうりんいん)が紹介されていました。
東林院は妙心寺の開山様をおまつりしている開山堂のすぐ横の寺であり、私も本山の僧堂にいた時、よく開山堂の外の掃除をやらされましたから、懐かしい思いがしました。
また東林院は沙羅双樹(さらそうじゅ・夏ツバキ)がとても有名で、花の季節には参詣者や観光客で大変賑わいます。
その番組の中で、若い女性の二人連れが、京都を訪れた観光客として東林院に泊まります。
二人が東林院の玄関をはいると、正面上側に直心是道場の横額が見えました。
二人連れのうちの一人が思わずつぶやきました。「全然読めない・・・」
もちろん続け文字で書いてありましたので、多少は読みにくいかと思いますが、この種の書としては、ずいぶん読みやすいのになあ…、というのが私の感想でした。
何にしても読めないままにしておいてはもったいないので、ご紹介しましょう。
玄関の続け文字の書は『直心是道場』で、読み方は「じきしんこれどうじょう」です。
正直でまっすぐな心をもつことは、それがそのまま修行である、ということです。
それ以上の深い意味は私も知りませんが、知らなくとも十分ズシリと心に響きますね。
正直でまっすぐな心をもつことをいつも心がけておく必要があります。