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久昌通信


久昌通信156号(2009年10月号)

ウソをつく能力

 突然暑い日がやってきたりして驚くこともありますが、めっきりと秋らしくなってきて気持ちの良い日が続いています。この良い季節が長続きしてくれれば言うことないのですが・・・

以前、よそのお寺さんの「寺報」で読んだ記事がとても興味深かかったので、紹介させていただきます。

精神科医の中井久夫教授は西洋医学を学び患者さんを治療していました。
精神科医の場合、一番悩むのが、患者さんがどうなったら退院の許可を出していいのか、その判断基準だそうです。
そこで中井教授が、苦心の末考え出したのが 「精神健康の基準」です。
精神が健康である証といえるこの基準は、入院病棟の看護師に配布されました。
精神科の患者がこの状態になれば、病気が回復したとして退院の許可を出すことにしたのです。
以来、この基準に合格した患者からは自殺者が出ず、ちゃんと社会復帰できるようになっていきました。
「精神健康の基準」の一部はこうです。

*嫌なことは自然に後回しする能力
*できたらやめておきたいと思う能力
*ウソをつく能力
*いい加減で手を打つ能力、意地にならない能力
*しなければならないという気持ちに対抗できる能力
*精神を無理に統一しない能力

あなたの読み違いではありません。いい加減でやめる能力が無い人は退院できないのです。(以下略、一部改)
           ≪岡山県津山市、宗永寺だよりから抜粋≫



安らぎ電話第30回(昭和62年3月)

マハーパンニャーパーラミータ  
 今日は心経の題の「摩訶般若波羅蜜多心経」のところをお話いたします。
国語や英語の試験にかなり長い文章に対して、適切な題をつける問題がありますが、名は体を表すと言いまして、標題は内容を集約的に言い表しています。
 ところで心経の場合マカハンニャハラミタは昔のインドの言葉、いわゆる梵語をなかなかうまく漢文にほんやくできない、というよりは翻訳すると、かえって本当の意味合いが伝わらないのではないかと心配されて、梵語の言いかたをできるだけそのままあらわすように工夫された漢字なのです。
カタカナで言えばもとの梵語はマハーパンニャーパーラミータとなるでしょう。
これは三つのことばからできています。
マハーの摩訶、パンニャーの般若、パーラミータの波羅蜜多です。
最初の摩訶は大きい、たくさん、すぐれたなどの気持ちをひっくるめてあらわす言葉です。
イギリス本国の帝国主義的な政策に対して無抵抗主義を唱導し実行して、インド独立の父と仰がれたガンジー翁というりっぱな人がおられましたが、この人のことをマハトマガンジーと呼びました。そのマハトマは偉大な人という意味です。
このマハが漢字の摩訶になりました。
次のパンニャが般若ですが、これは智慧の意味です。
智慧はいわゆる仏知、み仏さまの智慧のことで、物事のうわべだけで判断するいわゆる猿智慧ではありません。
宇宙の真理、一切の真理を徹見して、自由自在に生きてはたらく智慧であります。
次のパーラミータが波羅蜜多ですが、これはわたる、わたす、彼岸に到る、という意味合いで、前にお彼岸のお話で、こちら岸の苦しみ悩みの現実の世界から、向こう岸のなごやかな極楽の理想の国へわたる六つの舟のお話のことを申しましたが、
ほどこし、いましめ、しんぼう、はげみ、しずかの五つの舟のしめくくりがちえ、の般若波羅蜜多で、仏さまの智慧のしくみ、そしてその智慧をいただく工夫についてのお経が般若心経であります。(先住職・豊岳明秀)