久昌通信161号
特 別 寄 稿
すっかり春蘭です。皆さんますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
お彼岸中の3月20日の弔問法要においで下さり、ご法話をいただいた
津山市の宗永寺ご住職・高須昌明師に、以前からよく存じ上げている心安さもあって、久昌通信への原稿をお願いしたところ快く引き受けてくださいました。
ご法話の中にも出てきたお話を詳しく書いて頂きました。ご紹介します。
心ゆたかに生きる
あたりまえ、こんなすばらしいことを皆さんはなぜ喜ばないのでしょう。
お父さんがいて、お母さんがいる。
行きたい所へ自分で歩いて行ける。
手を伸ばせば何でも取れる。
音が聞こえて声が出る。
こんな素晴らしいことを当たり前の事として決して喜ばない。
その有難さを知っているのはそれを失くした人たちだけです。
私たちに欠けているのは身近な幸せを感じ、喜ぶ心です。
日蓮宗のあるご住職は、三人の里子を預かっています。
そのうちのひとり、智子ちゃんは幼稚園に通う四歳です。
寺に来る半年前にお母さんが亡くなり、天涯孤独の身となりました。
ある日のこと、ご住職の奥さんが掃除の為に子どもたちの部屋に行きました。
ところがなかなか戻ってこないので、ご住職が見にゆくと、奥さんが智子ちゃんの机の前で泣いていたのです。
「あれを見て!」奥さんは、机の横の本棚を指さしました。
そこには何冊かの絵本のある脇に、空き缶に一本のコスモスが無造作にさしてあります。
空き缶は昨日、奥さんが智子ちゃんに与えたおやつのジュース缶、コスモスは寺の境内に咲いているものでした。
何のことか、ご住職は咄嗟には事態が飲み込めなかったのですが、すぐに、缶にさしたコスモスの後ろに紙がはってあるのに気がつきました。
その紙には「おかあさん」と書いてあったのです。
幼稚園で習ったばかりのつたない字が鉛筆で書かれていました。
おそらく墓参りをする人たちを見て、お母さんをお参りしたいと思ったのでしょう。
どこにお母さんのお墓があるのか、お母さんの名前も覚えていないでしょうに。
悲しみを知るにはまだ幼すぎます。
思わずご住職ももらい泣きしたそうです。
涙を拭いた奥さんが、花瓶を持ってきて活け直してあげましょうと言いました。
しかし、ご住職はこう言ったそうです。
「いや、これでよい。すばらしい花瓶だ。すばらしい花だ。こんな心のこもったお仏壇、立派なお位牌はみたことがない」
形にとらわれることはないのです。
粗末なものでも、心をこめることこそが大切なのです。
これが、私たちが今、置き忘れてきた『情』の世界なのです。
点数にならない。そしてお金にもならない。しかし、それを大事に育てていかなければいけないんです。
さまざまな出会いの中で自分が生かされていることに感謝することで、はじめて豊かな心で生きていくことが出来るのではないでしょうか。
六度(ろくど・彼岸への六つの渡し船)
その第1…布施(ふせ)
財施と法施のこと
布施(ふせ)・持戒(じかい)・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)・智慧(ちえ)、の六つをまとめて六度といいますが、別の言い方で六波羅密(ろくはらみつ)ともいいます。波羅密はサンスクリットのパーラミータの漢字の当て字と言っていいでしょう。
この六つのうちの第一番目が『布施(ふせ)』です。布施の『布』は『あまねく』、『施』は『ほどこす』という意味ですから、布施は『あまねく施しなさい』ということになります。『あまねく』というのは区別せず、誰にでも、という意味です。
簡単にたとえれば、子供がお菓子を持っているとします。○○チャンは可愛いからこのお菓子をあげる、でも○○チャンは意地悪だからあげない、なんていうのは布施にはなりません。
簡単にたとえれば、といいましたが、大人でも『自分の妻(夫)には…』という気持ちや『自分の子供には…』という心はよく起こるもので、考えれば考えるほど『布施の心に徹する』のはとても難しいという気がします。
ところで布施といえば、お寺さんに包む『お布施』を一番に思い浮かべるでしょう。あれも布施にちがいありませんが、もっと正確に言うとあれは『財施』(ざいせ・財産を施すこと)です。それに対して(応えて)、お寺からは『法施』(ほっせ・法を施すこと)をしなくてはなりません。お寺としては、たとえばお釈迦様の教えを多くの人に紹介してゆくこと・法施が大変重要です。
こんな話を聞いた事があります。日本人旅行者が、インドのある街中を歩いていると一人の老婆がやってきて「何かお恵みを」と言ったそうです。その老婆は、結構えらそうな態度で「私はおまえさんに布施という善行を積む機会を与えてあげたのだから、感謝して私に何か恵みなさい」という内容のことを言いました。
しぶしぶその老婆に、少しばかりのお金を与える事になりました。老婆の後ろ姿を追ってゆくと、彼女は数人の汚らしい子供達の中に入っていき、その子供らに今もらったばかりのお金を分け与えていたのでした。彼女もまた布施の善行を積んでていたのです。 (澄明)
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玉野市仏教会主催
『はなまつり』
とき…4月3日(土)午前10時~12時
ところ…玉野レクレセンター
(玉野市玉三井生協となり)
参加無料!お誘いあわせおいで下さい!!
甘茶も、お接待のお菓子もあります
お釈迦さまのお誕生をお祝いする『花まつり』が、4月3日に玉野レクレセンターで行われます。チラシが、3月29日の朝刊のオリコミ広告で配られました。
花まつりの歌や法話、お釈迦様のビデオ放映などがあります。また楽しいアトラクションも予定しています。最初におこなわれる白象(誕生仏が乗っています)の行進に参加してくれた子供達には記念の腕輪念珠をさしあげます。