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[CAESAR]


「ごあいさつ」

 ローマ,永遠のローマ・・・。何も感傷にふけって詩人ぶるつもりは毛頭ない。しかし,,こと「ローマ」という言葉を聞くと,私は決して傍観者を決め込むことができないのも事実である。いつの頃からであろう,おそらく,高校2年生の頃,私はローマ史の魅力に取りつかれてしまった。理由は今になっては思い出すこともできないが,やはりそのダイナミックな「人間の歴史」の魅力であったのだろう。ロムルスがレムスが,マリウスがスッラが,カエサルがポンペイウスが,オクタウィアヌスがアントニウスが,目もくらむような「人間史」を繰り広げてきた。私が,ローマ史に魅了されたのは結局はその人間たちの魅力のためであったのだろう。とにもかくにも,高校を卒業して上京し,早稲田大学第一文学部に進学した私は,そのときすでに,「ローマ史」を研究テーマと定め,『ガイウス=ユリウス=カエサル』を卒業論文の題名と決めていた。途中ロシア文学の魅力に取りつかれ,一時期はマジメに露文学科への進級さえ考えたこともあったが,やはり歴史の,ローマ史への想いは捨て難く,再びこのローマ世界へ舞い戻ってきたわけである。

 このページは,そのようなローマ史マニアの大学生が,かつて大学の講義を通じて書きためたレポートを整理し直したものである。『ローマのインペリウムについて』『ローマ法について』『ローマの教育について』『ローマの家父長制度について』『近代人のローマ史観〜マキャヴェリの『政略論』』の5作品は,大学の講義のなかで課題として提出したものであり,『ガイウス=ユリウス=カエサル』は卒業論文として提出されたものである。もとより大学生のレポートであるから,稚拙で,その内容は『ガイウス=ユリウス=カエサル』を除いて,見る人が見れば「盗作」としか呼べない代物であることは間違いないであろう。しかし,大学卒業後,高等学校の世界史教員を続けるに当たって,このレポートが備忘録として意外に役立つことが分かった。そこで,授業の合間をぬって,それらをワープロで整理し直したものがこの『ローマ史論集』である。しかし,もちろん20歳前後の当時の私と,現在の私との間には(進歩か退歩かは別にして)歴史観の変化もあり,また大きな国際情勢の変化もあった。当然,この論文集も現在の視点から大きく書き直す必要に迫られたのは言うまでもない。なお,他のレポートとは違って,私はいまだに卒業論文『ガイウス=ユリウス=カエサル』は「快作」(怪作?)であると信じてやまない。「読んでおもしろい卒論」−それが当時の私の目指すところであったのだが,その想いはなかば達成されたのではないかと思っている。科学精神・批判精神を欠いているとの声もありはしたが,とにかく,この卒論や他のレポートに「優」を与えてくださった,早稲田大学教授(当時講師)の小林雅夫先生には,今この場からあらためてお礼を申し上げたい。

 なお,『ユリウス=カエサル−ある英雄の生涯』だけは,岡山県立成羽(なりわ)高等学校へ世界史教員として赴任した後の作品である。敬愛するカエサルへの想い絶ち難く,何とか彼の生涯を伝記に書き残したいと考えたのが発端であるが,時間が乏しく,いまだガリア戦争以前までしか書き進めることができなかった。まだまだ未完であるのだが,一区切りつける意味で,あえて付録として付け加えることにした。そして,このカエサルの伝記を書くという作業は,できることなら私のライフ・ワークにしてゆきたいと思うのである。

 "CAESAR'S ROOM"-『ローマ史論集』−名前は大袈裟である。しかし,その論文集を通じて私は常に歴史に熱中していた高校・大学時代の自分を思い出し,また,次の世代へその「想い」を伝えて行くことができたらと,切に願う次第である。

 私は歴史を愛している。私は人間を愛している。

大坂秀樹


『CAESAR'S ROOM』 COMENTARII DE SENATO POPULOQUE ROMANO

目 次
『ローマのインペリウムについて』
『ローマ法について』
『ローマの教育について』
『ローマの家父長制について』
『近代人のローマ史観』〜マキャヴェリ『政略論』
『ガイウス=ユリウス=カエサル』
『ユリウス=カエサル−ある英雄の生涯』
『歴史学私見』
『概説-カエサルの生涯』
『概説-ローマの歴史』


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