お礼SS第4弾 *** 恋に気付いた10のお題 01)認識して確信 ***  (仙越)



 それは本当に些細な瞬間だった。
 もしかしてそうなのかな、と。気付いたのは果たして偶然なのか、それとも作為に満ちていたのか、それは今この瞬間に考えてみても分からない。
 どちらでも別に構わないと思うケド。


 ほんの僅かに触れた指先が。
 けれどもあんなに雄弁だった、あの瞬間。
 見上げた顔は複雑で。
 でも、それすらが、あの指先が答えだったのだと、告げていた。
 触れた指先が全てだった。
 その指先で認識して、次に見たあの表情が確信をくれただなんて。
 言ったらどうするだろう。


 あの些細な瞬間で。
 叶うことなどないと思っていた願いが。成就する願いなのだと信じた。
 信じて疑わなかった。
 信じて踏み出した。


 あの瞬間がなければ。
 今この腕の中にある温もりを得ることは、きっと叶わなかった。


 貴方と出会ったことが最初の奇跡だった。
 けれどあの瞬間が1番の奇跡なのだと。
 告げたら貴方はなんて言うだろう?





  第4弾もお題使用、そして立て続けに仙越でしたね。何故か。個人的に仙越期間だったのかしら?(笑)
  お題に使用したのは先頭にも記載してますが、『恋に気付いた10のお題』なるお題の中の1つ。
  『認識して確信』、まんまの使い方で書いたものです。そして本当にショートショート。
  珍しくも短く、でもわりとキチンとまとまった感じになった気がします。私にしては、ですけど。


         第5弾は現在拍手上で公開中。